病気になっていないから言える事

最近芸能人が乳がんを公表した――というニュースをよく目にする。
以前から乳がん患者が増えていると感じていたが、近頃は公表する人も増えてきた為、余計にそう感じる部分が大きいのかもしれない…と思おうとしていた。
が、これ程続くとやはり乳がんは他人事ではない…と実感する。
何度も何度も乳がんのニュースを見ていると、いずれ私もその病気になるのだろう…と諦めにも似た気持ちになる。
もしそうなった時、私には耐えられそうもない。
ニュースを読むと皆前向きに闘病されていて、心から尊敬する。
私は頑張れるのだろうか。
そして私は自分が入院したらどうなるのだろう…と想像した。
きっと実家の母は大人しく黙ってはいない。
どれ程私が断っても、毎日付添に来るだろう。たとえ病院から禁止されても何とか頼み込む程、母は自分が動かずにはいられない。
その点、義母はそこまで行動力が無いのが救い。
タクシーで来るかもしれないが、私の隣でサメザメとしばらく泣き、気持ちが落ち着けば帰ると思う。
以前、私の好きな女性作家さんが癌になった時、誰にも世話を頼まず一人で乗り切ったと書かれていた。
親には病気の事を知らせたが、親は心配ながらも手も口も出さなかったと言う。周囲の人達も、「出来る事があれば言ってね」と言うだけで、あえて見舞いにも来ず連絡も来なかったと。
それがとても有難かったと書かれていた。
その気持ち、分かる。
だが人によれば、この話を聞いて周囲の人達の事を「冷たい」と感じる人もいるのだろう。
以前母にこの事を話すと、
「そんなの実際あなたが病気になっていないから言えるのよ。病気になれば誰だって人に頼りたくなるわ」と言っていた。
そうかもしれない。だが人によるような気もする。
もうすぐ私も検診だ。
検診が終わり、「現状維持」だと言われた帰り道、その日だけは感謝の気持ちでいっぱいになる。
ただ健康であれば、他に何も望まないと。
その気持ちを日々持ち続けられればいいのだけれど。
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