理解不能な隣人

今日は朝から庭の草むしりをした。
朝といってもかなり早く、5時にアラームをセットして起きた。
夜型の私にとってはキツイ時間帯だが、2ヶ月程前から「いつか、いつか…」とずっと先延ばしにしていたので、草が伸び放題になってしまい、ようやく重い腰を上げた。
なぜ5時なのかと言うと、
日中は暑い
夕方以降は虫が多い
人と会いたくない
という理由で、朝の5時なら涼しく誰とも会わないだろうと思った。
だが5時とは言え、長袖を着て手袋、帽子、タオルを巻いて作業をしていると、既に暑い。だが周囲がまだ静かなのが救いだ。
スコップで土を掘る音が近所に響き渡るぐらい、まだ辺りには誰も人がいなかった。
と、思っていたら…
「おはようございます」
背後から声をかけられビクッとした。誰⁉
見ると近所の男性が立っている。
同じ班の人で、奥さんはボス的な人なので苦手だが、ご主人は物静かな印象だ。
「あ…おはようございます」
驚きつつ挨拶をしたが、足音にも全く気付かなかった。いつから立っていたのだろう。
さらに戸惑ったのが、その男性が去ろうとしない事。
挨拶をしてそのままどこかに行くのかと思えば、手をブラブラさせながらその場に立ったまま。
何なの?
「今日はお仕事ですか?」
私は聞いてみた。その人が毎朝何時に出勤しているのか知らないが、もしかして今から出勤するのかと思った。
「いえ、今日は休みです」
「あ、それなら朝からウォーキングとか?」
「まぁ…そんなとこです」
「へぇ…健康的ですね」
「……」
会話が終わった。これ以上話題を絞り出せる程、私にはコミュ力が無い。
しかしなぜかまだ男性はその場に立ち、時々フラフラとうちの家の花壇を見たりしているが、特に何を話すという事もない。
何だか気持ち悪い気もしたが、私は無言で草むしりを続けた。
すると今度はその男性、「良かったら手伝いましょうか?」と言い始めた。
「いえ!結構です!こんな狭い場所なので!」
私は驚き慌てて拒否した。何なの~、変過ぎる。
あまりの気まずさに、まだ草むしりは途中だったが疲れたフリをして、「それじゃ、失礼します」と私は家の中に入った。
しばらく経ってから窓の外をそっと覗くと、その男性は消えていた。
近所に住む人で名前も知っている。
見知らぬ怪しい人という訳ではない。
だけど…近所に住んでいるからと言って、どんな人物なのか…よく分からない。
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