女の職場で孤立する女性

久々にパート先に行くと、まだあの50代女性がいて驚いた。
前回パート先に行った時、新しく採用されたパートの女性がいた。年齢は50代。この職場は女性が多く人間関係が殺伐とし、パートが幅を利かせ上司は頼りなく理不尽な事も多い。...
あれから何度か出勤したが、いつ見ても彼女は一人孤立しているように見え、虐めともとれるその周囲の態度は悪化しているようにも感じた。
なのでさすがにもう辞めてしまったのでは…そう思っていたが、彼女はまだそこに居た。
少しふっくらとした体型のその女性。
背中を丸めてこちらに背を向けて座り、黙々と仕事をしていた。
いつの間に席替えをしたのか、彼女の両隣には誰も座っていない。
離れた場所にパート達が集まり、ヒソヒソと会話をしている。時々「フフフッ」と笑い声が聞こえてきた。
まるで学校の虐めのようだ。
もしかしたらパート達は新人女性とは関係のない話題をしているのかもしれない。
だがあんな風にコソコソと近くで会話をされ、笑い声が聞こえたら私なら落ち込んでしまう。
休憩中ならまだしも、仕事中もずっとこんな雰囲気が続くなんて。
私はその様子を見ていて、やはりこの場に毎日通うのは絶対に嫌だと思った。まだ在宅勤務だから救われている。
私がこの会社に入った頃よりも、今はさらに居辛くなっているように見えた。
その後休憩時間になり、休憩室で皆が集まり昼食を取り始めた。
私はいつも隅の席に先に座るようにしている。皆が座った後から座るのは、どの場所を選ぶにしても気を遣ってしまうから。
この日、もしかしたらその新人女性も私の近くに座るかな?と思った。
私なら孤独そうな人の近くに座る方が気が楽だから。
だが彼女は最後に休憩室に入ってきて、お喋りな集団が座る隣に腰を下ろした。
よりにもよって…なぜあんな席を選ぶのか?馴染もうと努力しているのだろうか。
だがその後様子を見ていても、彼女はずっと黙ったまま。
俯いて時々パンをちぎり、口に運んでいる。
隣のお喋りパート主婦は、嫌味な程その新人女性に背を向けており、その背中が「あなたとは会話をしません!」と言っているようだった。
なぜ?なぜそんな思いをしてまでその場所に座るの?
「こっちに座りませんか?」喉まで出かかったが、本人にはお節介だと思われるかもしれないし、他のパート達への嫌味になるのが怖くて何も言えなかった。
モソモソとパンを食べていたその女性が、パンを全て食べきらずにバッグに戻しているのを私は見た。
そして変わりにバッグから取り出したのは、病院の薬袋。
その袋から何か粉薬を取り出し、彼女は大きな口を開けてそれをお茶で流し込んでいた。
そして静かに休憩室から出て行った。
その瞬間、
「プーッ!」と吹き出す笑い声。
「見た?あの薬、今日も飲んでたでしょ?あれで私は病弱です、ってアピールしてるつもり?体調悪いなら来なきゃいいのにね!」
今やこの職場のボスとなっている酒家さんがそう言うと、他のパートの一人が言った。
「今日も臭かったね」
すると他のパート達も、「うんうん」「私も思ったー」と口を揃えていた。
女性ばかりの職場。こんなものだろうか。
自分が女である事さえも嫌になる。
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