私は付録のような気がしてならない
義母から体調不良の電話があった事を、夫に話すべきかどうか…悩んだ。
言えばきっと夫は心配する。
私が行かなかった事も気を悪くするだろう。
やはり私の中で罪悪感が消えず、私は黙っていようと思った。言わなければバレない。
そして夜になり夫が帰宅した。
最初、夫は何も言わなかった。いつも通り風呂に入り、不機嫌な様子もなかった。
そして夕食の時。夫が言った。
「どうして今日は親から電話があった事を僕に話さないの?」
え⁉
私は驚きのあまり咄嗟に言葉が出なかった。動揺しているのが顔に出ていると自分でも分かった。
「…どうして知ってるの?」
夫に聞いた。動悸が激しく息苦しい。
「今日、母親から電話があったよ」
「え?仕事中に?何時ぐらい?」
夫の話では、義母はどうやら私との電話を切った後、すぐに息子に電話をしたようだ。
そして着信に気付いた夫は実家に折り返し電話した。
そして状況を知り、なんと夫は仕事を早退して実家に行ったと言うのだ。
聞いていて私は胃がキリキリと痛くなった。
これでは私の立場がない。義母が満足気に笑っている様子が目に浮かんだ。
「私が行けば良かったんだろうけど、体調が悪かったから…あなたも知ってるでしょ?昨日から…」
私は必死になり弁明しようとした。
すると夫は私の話を遮り、「別にころりを責めてないよ。僕が病院に連れて行ったんだし」と言った。
だが何だろう、この空気。
明らかに気まずい。夫が何か私に不満を感じているような気がしてならない。
それに夫がわざわざ仕事を早退してまで実家に行った事に、私は内心納得出来ていなかった。そこまでするなんて。
そういった夫の行動に、私は夫との距離を感じる。結局夫は実家が一番で、私は付録のような気分になる。
冷たい嫁なのだろうか。義母を放っておいて欲しいなんて。
こうして落ち着いて文字にして書いてみると、やっぱり私が冷たいような気がする。でも心にポッカリ空いた穴が埋められない。
夫は最後まで私に怒る事はなかった。
でも夕食の席を立つ前に言った。
「それで結局母親の体調がどうだったのか、ころりは聞きもしないんだね。気にならないの?」
「え?あ、ごめん!どうだった?でも大丈夫そうかな…と思って…」
アタフタと言い訳する私。完全に夫に見透かされている。
こんな事なら我慢して義母の付添をする方がずっと楽だったような気がした。
よく読まれている記事